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名古屋地方裁判所 昭和44年(行ウ)58号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(編者注) 本件は、名古屋地裁昭和四二年(行ウ)一号、名古屋高裁昭和四三年(行コ)二号<昭和四三・八・二七判決>、最高裁昭和四三年(行ツ)一一九号<昭和四四・一〇・一七第二小法廷原審差戻判決>の差戻後の判決である。その経過の概要については、野田宏「最高裁民事破毀判決の実情」判時六〇〇号二二―二三頁を参照されたい。

〔判決理由〕請求の原因たる事実(一)の点、同(二)のうち受領拒絶の点と同(三)の点を除くその余の点、即ち共同競落人の競落代金支払義務の性質および原告が保証金返還請求権を有する点を除くその余の基礎たる事実は当事者間に争いがなく、競売目的の一部分である持分の競売申出を認めたことを認むべき証拠なく、裁判所より競落人に対し競買代金の払込を通知する場合各別にその負担部分について代金払込を請求していることを認むべき証拠もない。ただ名古屋地方裁判所の不動産競売手続において持分を定めてする競買申出を許していることは被告の認めるところであるけれどもこれは共同競買人に各自独立の行為乃至原告主張の持分のみの競買を許容しているものではなく一個の競売手続の遂行という制約の下に便宜認められたものたるに止るものと解すべく、よつて共同競買人間に保証の預託、競落代金の支払について不可分乃至連帯債務の特約乃至その申出がなされなくても共同競買人の各持分に応じた保証の負担部分がすべて預託されなければ違法な共同競買の申出とはなりえなく、又共同競落人の各持分に応じた競落代金の負担部分がすべて支払われなければ代金の完納とはなりえなく、この場合において代金の負担部分未払の共同競落人については再競売手続を進め、その支払をなした共同競落人の競落のみを許可しえないことは原告も当然のこととしてこれを認めており、結局全体として再競売手続を進めなければならないことは原告も否定しないところというべく、かくて共同競落人の一部の者のみの代金の負担部分の提供を債務の本旨に従つた履行の提供と認めることはできないものと解するのを相当とする。これが代金未完納により再競売が行われた場合の不足額の賠償責任(競売法第三二条第二項、民事訴訟法第六八八条第五項)も代金支払の確実を期する制裁的規定に基づくものであるから共同競落人は連帯してこれを負担するものと解せざるをえない(兼子一強制執行法二四四頁参照)。要するに競売手続は被告所説の通り私法上の取引ではなく、国家機関による公法上の処分たる性格を有し競売手続においてはなるべく繁雑を避け代金の取得の確実、迅速を期することが必要であり、競売法及び民事訴訟法中に共同競落人の代金支払義務が分割債務であることを予想した規定は存しないのでこれら諸観点によつてこれをみると競落代金の支払は右競売手続の性質に鑑み共同競落人の連帯義務に属するものと認むべく(大審院決定昭和一一・三・一七、法律学全集競売法斎藤秀夫一四七頁参照)、原告の前記持分に応じた競落代金の負担部分のみの提供をもつて債務の本旨に従つた履行の提供となすことはできないので原告の預託した前記保証金の負担部分を原告に債務不履行の廉の存しないものとして当然返還すべきものとなしえない。(小沢三朗 日高乙彦 太田雅利)

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